※本記事には広告(プロモーション)を含みます。編集部が転職サービスを勧める基準は編集方針ですべて公開しています。
公務員の給料は、学歴で入口が2本に分かれています。2026年8月7日の人事院勧告では、一般職試験(高卒者)の初任給が月209,800円、一般職試験(大卒程度)が241,500円。差は31,700円です(差は編集部算出)。
この記事は、その31,700円がどこから来て、その後どう動くのかを、人事院の勧告資料・厚生労働省の賃金統計・条文だけで組み立てたものです。試験の日程・受験資格・出題傾向は扱いません。当サイトが扱うのは待遇のほうです。読み終わると、公務員の給料を「自分の現職と比べるものさし」として使えるようになります。
結論:入口の差は31,700円、そして2年続けて動いていません
先に、この記事の数字を全部出します。いずれも2026年9月時点で編集部が原典を開いて確認したものです。
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 国家公務員・高卒区分の初任給 | 月209,800円 | 人事院・令和8年勧告 |
| 国家公務員・大卒区分の初任給(一般職) | 月241,500円 | 同上 |
| 上の2つの差 | 31,700円 | 編集部算出 |
| 2年前(令和6年勧告)の同じ差 | 32,000円 | 編集部算出 |
| 民間の高校卒の初任給 | 207.3千円 | 賃金構造基本統計調査・令和7年 |
| 民間の高校卒の賃金がピークになる年齢 | 50〜54歳(335.1千円) | 同上 |
| 国家公務員の特別給(ボーナス) | 年間4.70月分 | 人事院・令和8年勧告 |
| 国家公務員が61歳に達する年度以後の俸給月額 | 7割水準 | 人事院・内閣人事局 |
ここから編集部が読み取ったことは3つです。
- 入口の学歴差は、縮んではいるがほぼ止まっている。32,000円(令和6年)から31,700円(令和7年・令和8年)へ300円動いただけです
- 民間の高校卒は50代前半で賃金が頭打ちになる。公務員は61歳という別のタイミングで、制度として7割になります
- 公務員の給料は「どう決まるか」が公開されている。国は勧告と法律、地方は条例です。求人票を読んでも学歴の扱いが分からない民間とは、ここが違います

扱わないことも先に書きます。試験の日程、受験資格の一覧、出題範囲、勉強法、参考書、合格率はいずれも扱いません。
「高卒区分」とは何か|給料表の入口が2本に分かれている
公務員の給料は、採用された試験の区分によって、給料表のどの位置から始まるかが決まります。この「入口の位置」が学歴で分かれている、というのが高卒区分の正体です。
国家公務員のうち一般行政の事務に就く職員には、行政職俸給表(一)が適用されます。人事院が毎年公表する国家公務員給与等実態調査の統計表も、すべて「適用俸給表別」に組まれています(令和7年調査。2026年9月17日に編集部が表の構成を確認)。職務の種類ごとに表そのものが違い、その中で級と号俸によって額が決まります。
同じ俸給表でも、入口の号俸が違えば、その後ずっと差が残ります。学歴区分による初任給の差は、この入口の位置の差です。
高卒区分で入った人は、4年早く給料をもらっている
額の差だけを見ると不利に見えますが、時間の軸を入れると見え方が変わります。大卒区分で入る人が働き始めるのは、高卒区分の人が入ってから4年後です。
その4年間、高卒区分の職員は給料を受け取り、昇給を重ね、賞与も受け取っています。編集部は、この4年を「差を埋める原資」として数えるべきだと考えます。ただし、すでに働いている読者にとって、その4年は現職で使い終えた時間です。比べる相手は新卒同士ではなく、いまの自分の給与と、公務員に移った場合の位置になります。
なお、高卒程度の試験区分は卒業後の年数で受験資格が区切られることがあり、社会人向けには別の区分もあります。受験資格と日程は毎年度変わるため、当サイトでは扱いません。人事院と各自治体の募集要項を直接確認してください。
初任給:勧告3年分を並べると、定額改定の効き方が見えます
編集部が人事院の勧告資料3年分を開いて、初任給だけを抜き出して並べ直しました。単年の金額だけを載せた記事は多くありますが、年次を並べると別のことが読み取れます。
| 試験区分 | 令和6年勧告 | 令和7年勧告 | 令和8年勧告 | 令和8年の引上げ |
|---|---|---|---|---|
| 総合職試験(大卒程度) | 230,000円 | 242,000円 | 251,500円 | +9,500円(+3.9%) |
| 一般職試験(大卒程度) | 220,000円 | 232,000円 | 241,500円 | +9,500円(+4.1%) |
| 一般職試験(高卒者) | 188,000円 | 200,300円 | 209,800円 | +9,500円(+4.7%) |
出典:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」令和6年8月・令和7年8月・令和8年8月(いずれも2026年9月17日に編集部が原典を確認)。令和8年勧告の資料には「初任給は一律9,500円引上げ」と明記されています。表の引上げ額と率は、勧告資料の記載と編集部の算出が一致することを確かめたものです。
なお、令和8年勧告では特別給(ボーナス)が年間4.70月分とされています。月例給だけで民間と比べると、賞与の分が抜け落ちます。
読み取り1:令和8年の引上げは、3区分とも同じ9,500円です
金額が同じなら、率は元の額が低いほうが大きくなります。高卒区分は+4.7%、大卒程度の一般職は+4.1%、総合職は+3.9%です。定額での引上げは、入口の低い区分ほど効きます。
令和7年勧告は違いました。高卒者が+12,300円、大卒程度の2区分が+12,000円で、高卒区分だけ300円多く上がっています(率では+6.5%と+5.2〜5.5%)。2年続けて、高卒区分の引上げ率が3区分で最も高い形です。
読み取り2:2年で差は300円しか縮んでいません
率で見ると縮み、額で見るとほぼ動いていない。これが編集部の結論です。
- 令和6年勧告時点の差:220,000円−188,000円=32,000円(元の額に対して17.0%)
- 令和8年勧告時点の差:241,500円−209,800円=31,700円(元の額に対して15.1%)
差の額は300円、率は1.9ポイント縮みました(いずれも編集部算出)。「学歴差が急速に埋まっている」とは書けません。
読み取り3:これは勧告であって、確定した給料ではありません
人事院勧告は、国会と内閣に対する勧告です。実際の額は給与法の改正で決まり、2026年9月17日時点で令和8年勧告に基づく改正はまだ行われていません。したがって209,800円は「勧告された額」で、いま支給されている額ではありません。現に適用されているのは令和7年勧告に基づく200,300円の水準です。
民間の高校卒初任給と並べる|ただし同じ土俵ではありません
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、令和7年の高校卒の初任給は207.3千円です(男女計・前年比+5.0%)。大学卒は262.3千円(+5.6%)で、差は55.0千円になります(差は編集部算出)。
| 公務員(国・令和7年勧告) | 民間(令和7年調査) | |
|---|---|---|
| 高卒区分・高校卒 | 200,300円 | 207.3千円 |
| 大卒区分・大学卒 | 232,000円 | 262.3千円 |
| 学歴区分の差 | 31,700円 | 55.0千円 |
出典:人事院・令和7年8月/厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第10表。差はいずれも編集部算出。
この表の数字を引き算してはいけない理由
2つの数字は、含んでいるものが違います。ここを飛ばすと比較そのものが誤りになります。
人事院が示す初任給は俸給の額で、地域手当は入っていません。令和8年の勧告資料は、地域手当の支給割合を「地方機関:非支給、本府省:20%」と記しています(2026年9月17日に編集部が原典で確認)。勤務地によっては、表の額に2割が上乗せされます。
一方、賃金構造基本統計調査の「賃金」は「調査実施年6月分の所定内給与額の平均」です。所定内給与額は「6月分として支給された現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額」と定義されています(同概況「用語の解説」。2026年9月17日に編集部が原文を確認)。残業代は入りませんが、その他の手当は入ります。
つまり公務員側は手当が乗る前、民間側は手当が乗った後の数字です。だから編集部は、この表の数字を引き算しませんし、「何割高い」とも書きません。
それでも1つだけ言えること
学歴区分の差の大きさは、公務員側のほうが小さく出ています。31,700円と55.0千円です。ただし上の理由で、55.0−31.7という引き算はしません。
民間の初任給の学歴差が会社ごとの判断で決まるのに対し、公務員では試験区分ごとに額が一本化されています。一本化された制度のほうが学歴による幅は出にくく、それがこの2つの数字の形に表れていると編集部は考えます。
昇給と頭打ち|下がり始める場所が、民間と公務員では違います
民間の高校卒の賃金は、50〜54歳の335.1千円がピークです。55〜59歳では332.1千円に下がり、60〜64歳では286.7千円になります(いずれも男女計。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第3表。2026年9月17日に編集部が原典を確認)。
| 年齢階級 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 225.2千円 | 263.9千円 |
| 30〜34歳 | 276.2千円 | — |
| 40〜44歳 | 309.0千円 | — |
| 50〜54歳 | 335.1千円 | — |
| 55〜59歳 | 332.1千円 | 529.1千円 |
| 60〜64歳 | 286.7千円 | — |
出典:同第3表(男女計)。大学卒は本記事で使う2点のみ掲載。
高校卒と大学卒の差は、20〜24歳で38.7千円、55〜59歳で197.0千円です(差は編集部算出)。入口ではなく途中で開く、という形になります。年齢とともに差がどう開くのかは民間側の賃金カーブを年齢で分解した記事で扱いました。
公務員側は、下がる時期が制度で決まっています
国家公務員は、61歳に達する年度以後の俸給月額が7割水準になります(人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」令和8年4月。2026年9月17日に編集部が原典を確認)。同資料によれば、7割水準になるのは地域手当や期末・勤勉手当で、住居手当や扶養手当は対象外とされています。
定年そのものも段階的に上がっています。同資料では、令和8年度の定年は62歳、令和13年度以降は65歳です。
この2つは別々の系列なので、民間の286.7千円と公務員の7割水準を並べて差を計算することはしません。片方は年齢階級ごとの平均賃金の実績、もう片方は制度上の俸給月額の取扱いだからです。
それでも、比べる価値はあります。民間の高校卒が50代前半から下がることは統計の平均としてしか見えませんが、公務員は61歳という時点と7割という率が資料に書かれています。下がること自体は同じでも、いつ・どれだけ下がるかを事前に読めるかどうかが違う——編集部はここを公務員側の大きな特徴だと考えます。

地方公務員の給料は条例で決まる|自分の自治体の額を自分で確かめる手順
地方公務員の給料は、法律ではなく各自治体の条例で決まります。地方公務員法24条5項は「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」と定めています(地方公務員法〈昭和25年法律第261号〉。2026年9月17日に編集部がe-Gov法令検索で条文を確認)。
この一文が意味するのは、同じ高卒区分でも自治体ごとに額が違うということです。全国一律に決まった額はありません。だから当サイトは、平均値を出す代わりに、自分の自治体の額にたどり着く道筋を渡します。
4か所を見れば、自分の自治体の額が出てきます
- 自治体名+「給与に関する条例」で検索する。条例は例規集として公開されているのが通常です
- 条例の別表にある給料表を開く。行政職、公安職など職務の種類ごとに表が分かれています
- 自治体名+「職員の給与の状況」で検索する。職員数・平均給料月額・初任給を毎年公表している自治体が多くあります
- 総務省の地方公務員給与実態調査で、全国の水準と見比べる。毎年4月1日現在で調査されます
この4つを回すのに30分もかかりません。ここまでやる人が少ないぶん、条例の別表まで見た読者は情報量で上に立てます。
平均値は「どこにもない自治体」の数字です。都市部と町村では、地域手当の有無だけでも額が変わります。差の幅を先に眺めておきたい場合は、自治体ごとの年収を並べた記事と地方公務員の年収実態を扱った記事が参考になります。年齢別の額は年齢別の早見表を載せた記事に、得か損かという見方は金額の面から公務員の給与を検討した記事にまとめてあります。
事務職だけではありません|警察官・消防士・自衛官は別の表で動きます
高卒区分の入口は、役所の事務職だけにあるわけではありません。ただし、適用される給料表・俸給表は一般行政職とは別のものです(国の統計表が適用俸給表別に組まれていること、条例の別表が職務の種類ごとに分かれていることは前述のとおり)。表が分かれている以上、一般行政職の額をそのまま当てはめることはできません。
実額は職種ごとに違うため、当サイトでは職種別の記事で扱っています。
- 警察官:高卒警察官の年代別・階級別の稼ぎを扱った記事、勤務地による違いまで踏み込んだ記事、女性の現役職員のキャリアと働き方を扱った記事
- 消防士:消防士の初任給とその後のキャリアをまとめた記事
- 自衛官:自衛官の手取りまで含めて実態を扱った記事、賞与の内訳まで分解した記事
編集部が確認できなかったことも書いておきます。自衛官の基本給は、防衛省の公表資料に到達できたものの、区分ごとの学歴の対応を資料上で確定できませんでした(2026年9月17日時点)。存在しないという意味ではありません。額を判断に使う場合は、防衛省と各地方協力本部の案内を直接確認してください。
給料表の外側にある2つの条件|副業制限と、雇用保険の適用除外
ここからは、初任給の表には載らない待遇の話です。編集部が金額と同じ重さで見ているのが、この2つです。
1. 営利企業への従事は、許可がなければできません
国家公務員法103条(私企業からの隔離)1項は、次のように定めています。
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
(引用:国家公務員法〈昭和22年法律第120号〉103条1項/2026年9月17日に編集部が原文を確認)
同法104条(他の事業又は事務の関与制限)は、報酬を得て営利企業以外の事業に従事する場合も「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する」と定めています。地方公務員については、地方公務員法38条1項(営利企業への従事等の制限)が同じ枠を置いています。同項は「職員は、任命権者の許可を受けなければ」報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない、と定めています(いずれも2026年9月17日に編集部が原文を確認)。
編集部は、これを減点項目として扱います。当サイトは、収入源と成長機会を1つに縛る条件の評価を下げる立場を公開しており、公務員はその条件に当たります。
ただし、条文は「絶対に不可」とは書いていません。どちらの法律も許可という枠を持っています。何がどこまで認められるかは所属先の運用によるため、具体的な可否は人事担当に確認してください。
2. 離職しても失業給付が出ない場合があります
雇用保険法6条(適用除外)は、6号で次の者を適用除外としています。
国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
(引用:雇用保険法〈昭和49年法律第116号〉6条6号/2026年9月17日に編集部が原文を確認)
条文は「公務員は全員除外」とは書いていません。除外されるのは、退職手当などが失業給付の内容を上回ると認められ、かつ厚生労働省令で定められた者です。範囲は省令側で決まるため、この記事では断定しません。
それでも、在職中の読者にとっては重い論点です。民間で働いていれば積み上がる雇用保険の被保険者期間が、公務員として働く期間には積み上がらないことがあるためです。応募の前に、ハローワークと所属予定先へ確認してください。

公務員の待遇を、自分の現職と比べる手順
ここまでの数字を、読者自身の給与明細に当てる作業に落とします。目指すかどうかを決める前に、比べるところまでは誰でもできます。
- 手元の給与明細から、基本給だけを抜き出す。総支給額ではなく基本給の欄です
- その額を、209,800円(令和8年勧告の高卒区分)と並べる。どちらも手当が乗る前なので土俵が揃います
- 民間の高校卒の年齢階級別の平均に、自分の年齢を当てる。30代前半なら276.2千円、40代前半なら309.0千円です
- 勤め先の昇給額を、直近3年分の給与明細で確かめる。1年あたりいくら上がったかを出します
- 自分が住む自治体の給与に関する条例を開き、給料表の号俸の刻みを見る。1号俸あたりの上がり幅が分かります
4と5を並べたとき、どちらの傾きが大きいかが判断材料になります。編集部が勧めるのは、この比較を転職の意思とは切り離してやっておくことです。測ること自体には、何のコストもかかりません。
公務員から民間へ出る側の話は公務員から民間企業へ移る手順を扱った記事にあります。民間企業で高卒の入口がどれだけ開いているかは79社の募集要項で高卒の入口を数えた記事、中途採用の間口は中途採用の実態を統計で確かめた記事で扱いました。
採用側から見た、公務員経験の書類の読まれ方
編集部の運営メンバーは、採用側として中途採用の選考に関わってきました。そこで見てきたことを1つだけ書きます。
公務員から民間へ移る応募者の職務経歴書は、担当した業務の名前だけが並ぶ傾向があります。「窓口業務」「収納事務」といった名称です。読む側が知りたいのは、何件を何人で処理したのか、何を改善したのかという中身のほうです。組織の外に出た瞬間、肩書きより処理量と改善の履歴が効きます。
これは公務員に限った話ではありません。ただし、職名で仕事が説明できてしまう職場ほど、この書き換えを忘れやすいというのが編集部の実感です。
転職サービスは「比べる道具」として使う
転職エージェント(有料職業紹介)の報酬は、紹介先の企業が支払う成功報酬です。求職者は原則無料で使えるため、相場のフィードバックや書類の添削は受け取って構いません。ただし提案される求人は、そのエージェントと契約している企業の在庫です。
そして、いま登録しなくていい人もはっきりしています。賃金にも労働時間にも不満がなく経験を積み増している人、社内で異動や昇格の話が動いている人、何を最優先するかが決まっていない人は、先に比較だけを済ませてください。事業者の許可・届出は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認でき、当サイトは照合できない事業者を扱いません。
よくある質問
Q:高卒公務員は勝ち組ですか?
編集部は、勝ち負けという物差しを使いません。代わりに数字で答えます。入口の学歴差は31,700円で、2年間で300円しか縮んでいません(令和6年・令和8年の人事院勧告より編集部算出)。一方で、民間の高校卒の賃金が50〜54歳をピークに下がるのに対し、公務員は下がる時期と率が制度で決まっています。
Q:高卒公務員の給料は高すぎませんか?
「高すぎる」と言えるだけの比較を、編集部は持っていません。国の高卒区分の初任給は令和8年勧告で209,800円、民間の高校卒は令和7年の調査で207.3千円です。ただし前者は俸給のみ、後者は所定内給与で、含んでいるものが違うため引き算はできません。同じ土俵の数字が無い以上、高い・安いの断定はしないというのが当サイトの立場です。
Q:高卒の公務員は給料が安いですか?
入口に限れば、民間の高校卒の初任給と大きくは離れていません。しかも公務員側の額には地域手当が入っておらず、勧告資料によれば本府省では20%が加算されます。表の額だけを見て安いと判断すると、この加算を見落とします。
Q:高卒で公務員になると手取りはいくらですか?
手取りの額は、この記事では出しません。社会保険料と税は扶養親族の数・居住地・加入する共済組合で変わり、初任給の額から一意には決まらないためです。応募先が示す初任給に、自分の条件を当てて計算してください。
Q:高卒で地方公務員になると年収はいくらですか?
自治体ごとに条例で決まるため、全国共通の一本の額はありません。地方公務員法24条5項が、給与は条例で定めると規定しているからです。自分が受ける自治体の条例と、その自治体が公表する職員の給与の状況を見るのが最短です。手順は「地方公務員の給料は条例で決まる」の節にまとめました。
Q:高卒で公務員になるデメリットは?
編集部が減点項目として挙げるのは、副業が許可制であることです。国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条が定めています。当サイトは収入源と成長機会を1つに縛る条件の評価を下げる立場を公開しており、公務員はこれに当たります。もう1つは、離職時に失業給付を受けられない場合があることです(雇用保険法6条6号)。
まとめ
- 国の高卒区分の初任給は、令和8年の人事院勧告で月209,800円。大卒区分(一般職)の241,500円との差は31,700円で、令和6年の32,000円から300円しか縮んでいません(差は編集部算出)
- 令和8年の引上げは3区分とも同額の9,500円でした。率にすると、3区分の中で高卒区分の+4.7%が最も大きくなります。定額での改定は、入口の低い区分ほど効きます
- 人事院の初任給は俸給の額で、地域手当を含みません。民間の初任給調査は所定内給与なので手当を含みます。2つを引き算しないでください
- 民間の高校卒の賃金は50〜54歳の335.1千円がピークで、そこから下がります。公務員は61歳に達する年度以後、俸給月額が7割水準になります。別々の系列なので差は計算しませんが、下がる時期を事前に読めるかどうかが違います
- 地方公務員の給料は条例で決まります(地方公務員法24条5項)。全国一律に決まった額は無いので、自分の自治体の条例と公表資料を開いてください
- 給料表の外側に2つの条件があります。営利企業への従事が許可制であること(国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条)と、離職時に雇用保険の給付を受けられない場合があること(雇用保険法6条6号)です
編集部の結論を、軸ごとに書きます。収入の安定と、下がり方を事前に読めることを最優先するなら、公務員の待遇は検討する価値があります。下がる時期と率を事前に資料で読める職場は、編集部が見てきた範囲では多くありません。一方で、副業で収入源を増やすことを軸に据えるなら、当サイトは積極的には勧めません。許可制という枠がある以上、自分の判断だけでは動かせないからです。
決める前にやれることもあります。給与明細の基本給の欄を開いて、この記事の209,800円と並べてみてください。手当が乗る前の額どうしなら土俵が揃い、公務員に限らず次にどこを見ればいいかの見当がつきます。
※本記事は制度と統計に基づく一般的な情報で、数値は2026年9月時点で確認したものです。公務員の給与は毎年度の人事院勧告・給与法の改正・各自治体の条例改正で変わります。受験資格・採用の条件・個別の給与額は、人事院・各自治体の人事委員会・防衛省などが公表する最新の資料をご確認ください。
※副業の可否や雇用保険の適用については、所属先の人事担当、ハローワーク、労働基準監督署などの公的窓口へご確認ください。制度の適用は個別の状況で変わります。
参考・出典
- 人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」令和8年8月(一般職試験〈高卒者〉209,800円・一般職試験〈大卒程度〉241,500円・総合職試験〈大卒程度〉251,500円/特別給は年間4.70月分/地域手当は地方機関非支給・本府省20%): https://www.jinji.go.jp/content/000017812.pdf
- 人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」令和7年8月(200,300円・232,000円・242,000円): https://www.jinji.go.jp/content/000011724.pdf
- 人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」令和6年8月(188,000円・220,000円・230,000円): https://www.jinji.go.jp/content/000005212.pdf
- 人事院「令和8年人事院勧告」(勧告日:2026年8月7日): https://www.jinji.go.jp/seisaku/kankoku/archive/r8/r8_top.html
- 人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査報告書」(令和7年3月31日現在。統計表が適用俸給表別に構成されていること): https://www.jinji.go.jp/seisaku/kankoku/archive/kokkou/07kokkou_00002.html
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第10表 新規学卒者の性、学歴別賃金及び対前年増減率(高校卒207.3千円・+5.0%/大学卒262.3千円・+5.6%): https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/10.pdf
- 同概況 第3表 学歴、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率(高校卒の年齢階級別賃金/大学卒20〜24歳263.9千円・55〜59歳529.1千円): https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/03.pdf
- 同概況「用語の解説」(賃金=調査実施年6月分の所定内給与額の平均/所定内給与額の定義): https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/yougo.html
- 人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」令和8年4月(定年は令和8年度62歳・令和13年度以降65歳/61歳に達する年度以後の俸給月額は7割水準): https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/20260401_over60_hatarakikata_gaiyou.pdf
- e-Gov法令検索「国家公務員法」(昭和22年法律第120号。私企業からの隔離=103条1項/他の事業又は事務の関与制限=104条): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120
- e-Gov法令検索「地方公務員法」(昭和25年法律第261号。給与等の根本基準=24条5項/営利企業への従事等の制限=38条1項・2項): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
- e-Gov法令検索「雇用保険法」(昭和49年法律第116号。適用除外=6条6号): https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」(有料職業紹介・募集情報等提供事業者の許可・届出の確認): https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/
