中卒・高卒の転職

高卒・資格なしの転職|中途採用で重視される11項目の実態

資格の欄が空白でも転職活動を進める高卒男性のイメージ図
コロキャリア編集部

「資格が無いから転職できない」と思って検索した方に、まず1つの数字を見てください。中途採用の選考にあたって企業が重視する点を尋ねた厚生労働省の調査で、「業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力)」を挙げた事業所は34.8%でした。最も高かった「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(72.7%)の半分にも届きません(厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」表4)。

資格の有無は、選考で見られている点のひとつにすぎません。この34.8%は資格・免許だけの数値ではなく、語学力なども含む項目の値で、11項目中6位です。この記事では、中途採用の選考で実際に重視されている点を実測データで並べ直し、資格の代わりに何を用意すればいいのかを整理します。資格取得の通信講座は紹介しません。

結論:中途採用で最も重視されているのは「資格」ではありません

中途採用の選考で、企業が最も重視しているのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(72.7%)と「コミュニケーション能力」(66.9%)です。「専門知識や技能(資格・免許や語学力)」(34.8%)はこの2つの半分程度で、11項目のうち6位にあたります(厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」表4・事業所調査、複数回答)。

この調査は、全国の16大産業・常用労働者5人以上の事業所を対象に、若年労働者(満15〜34歳)の採用選考について尋ねたものです。事業所調査は17,355事業所に依頼し、7,867事業所から有効回答を得ています(有効回答率45.3%)。調査基準日は令和5年10月1日です。

中途採用の選考で重視する点11項目を割合順に並べたグラフ(専門知識や技能は6位、学歴・経歴は8位)

中途採用の選考で重視される11項目を、割合の高い順に並べ直す

原典の表は「学歴・経歴」を先頭に置いた固定の並びです。割合の高い順に組み替えると、見え方が変わります。

順位 重視する点 中途採用者(%) 新規学卒者(%)
1 職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神 72.7 79.3
2 コミュニケーション能力 66.9 74.8
3 マナー・社会常識 58.1 58.6
4 組織への適応性 51.8 53.2
5 業務に役立つ職業経験・訓練経験 42.3 14.7
6 業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力) 34.8 30.4
7 体力・ストレス耐性 31.4 36.2
8 学歴・経歴 23.1 22.4
9 柔軟な発想 22.9 29.3
10 従順さ・会社への忠誠心 20.3 20.1
11 その他 6.8 5.2

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」表4(採用選考にあたり重視した点・複数回答)。順位は同表の中途採用者の割合を編集部が高い順に並べ替えたものです。

読み取れることは2つあります。第1に、「専門知識や技能(資格・免許や語学力)」は11項目のうち6位です。第2に、中途採用者では「業務に役立つ職業経験・訓練経験」が42.3%と、新規学卒者(14.7%)の3倍近くに跳ね上がります(編集部算出)。中途採用で重視される軸は、資格の有無よりも、前職で何をしてきたかのほうに寄っています。

新規学卒者との差が最も大きいのもこの項目です。新規学卒者を採用するとき、企業はまだ「職業経験」を持たない前提で選考するため、重視割合は14.7%にとどまります。

一方、中途採用では前職の経験そのものが選考材料になるため、42.3%まで跳ね上がります。資格を取って「経験の代わり」にしようとするより、いまある経験をそのまま見せるほうが、選考の重視軸に近いということです。

なお、この調査は満15〜34歳の若年労働者の採用に関するものです。35歳以上の中途採用にそのまま当てはまるとは限りません。この点は正直に書いておきます。賃金カーブや学歴差の全体像は、高卒の転職の全体像を厚生労働省の統計で整理した記事にまとめています。

資格には3つの種類があり、「持っていないと働けない資格」はごく一部です

「資格」という言葉を一括りにすると、判断を誤ります。大きく3つに分けて考えてください。

  • 業務独占資格——その資格が無いと、業務自体に就けない資格です。医師や看護師などが代表例で、無資格での従事そのものが認められていません
  • 名称独占資格——資格が無くても業務自体はできますが、その名称を名乗ることはできません。キャリアコンサルタント(職業能力開発促進法30条の28)がこれにあたります。名乗れないだけで、同種の相談業務そのものを無資格の人が行うことは妨げられていません
  • 技能講習・特別教育——一定の業務に就くために法令上必須ですが、実務経験を問わず短期間の講習で取得できます。フォークリフト運転技能講習(労働安全衛生法61条)が代表例です。就業のハードルは、資格というより「講習を受ける手間と時間」に近いものです

高卒・未経験からの転職で候補になりやすい職種の多くは、業務独占資格を必要としません。求人票で「資格」と書かれていても、その中身が名称独占資格なのか技能講習なのかで、取得の負担はまったく違います。「資格が要る」と書かれた求人を見たら、まずどの分類に当たるのかを確認してください。業務独占資格であれば取得に年単位の時間がかかることもありますが、技能講習であれば数日で修了できる場合がほとんどです。

資格を業務独占資格・名称独占資格・技能講習の3つに分類した図解

職務経歴は、担当した内容を具体的に書く

次は書き方の説明のための仮の例であり、編集部が実際に選考した応募者の記録ではありません。「設備の保全を担当」だけでなく、担当した設備の台数、改善に取り組んだ内容、後輩の指導を任された範囲まで書くと、何を経験した人なのかが伝わりやすくなります。

記載する数字や実績は、自分の経験として説明できる事実だけにしてください。数字が分からない場合は創作せず、担当した期間・役割・任された範囲を具体化します。

資格の欄は今日書き換えられなくても、職務経歴の書き方は今日見直せます。表4では、専門知識や技能に加えて職業経験・訓練経験も選考で重視されています。

それでも資格が効く場面はあります

資格が無くても選考は進みますが、資格があると有利になる場面自体は実在します。上の表4で「業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力)」を重視すると答えた事業所が34.8%あった、という事実がそれです。

編集部の見方を書きます。資格が効くのは、応募先の業務内容と資格の中身が直結している場合に限られます。関係の薄い資格をいくつも並べても、選考ではほとんど評価されません。

技能検定(職業能力開発促進法44条以下)のように、合格すると「技能士」の名称を名乗れる国家検定もあります。ただし資格を新しく取ってから動くべきかどうかは、応募先の業務内容が固まってから判断してください。順番を間違えると、資格を取っている間に求人そのものが変わります。

もう1つ、編集部が重視している観点があります。同じ資格でも、供給が少ない分野で早く取るほど、その後の値札への効き方は長く続きます。需要に対して取得者がまだ少ない分野の資格や技能は、後から同じものを取った人より優位に働きやすいというのが編集部の見立てです。

逆に、取得者が既に多く出回っている資格は、持っていて当然の扱いになり、選考への影響は小さくなります。資格を取る判断をするなら、いま人気の資格ではなく、応募先の業界でまだ手薄な分野を選ぶほうが、時間に見合う効果を期待できます。

資格を取るかどうかは、優先したい軸によっても変わります。資格を取る時間より収入を優先するなら、いまの職務経歴を整えて先に応募することを編集部は勧めます。選考は資格の有無だけで決まらないため、応募を後回しにする理由にはなりません。一方、専門性を積み上げる時間を優先するなら、応募先の業界でまだ供給が少ない分野の資格・技能を選び、先に取得してから動く選択肢も成り立ちます。どちらの軸を選ぶかは読者の状況次第ですが、資格を取る・取らないのどちらを選んでも、職務経歴を具体化する作業は共通して必要です。

状況別に、資格より先にやること

資格の有無で立ち止まる前に、編集部が勧める順番は次のとおりです。

  1. いまの職務経歴を、期間・役割・任された範囲・数字の4項目で書き出す——「製造ライン業務に従事」ではなく、担当設備・改善実績・指導人数まで具体化する。アルバイト経験しかない場合の書き方はアルバイトも含めた経歴の伝え方を扱った記事にまとめています
  2. 応募先の業務内容と、いまの経験の重なりを確認する——資格の有無より先に、経験がどこまで持ち込めるかを見る。職業によって求人の出やすさが変わることを数字で示した記事では、職業別の有効求人倍率を扱っています
  3. 資格を取るかどうかは、応募先が固まってから決める——応募先が変われば、必要な資格も変わります

工業高校卒で金属加工の現場に9年間いる場合、資格は普通自動車免許とフォークリフト技能講習だけ、という状況は珍しくありません。それでも、上の表4が示すとおり、選考でまず見られているのは資格の欄ではありません。

資格がない状況に近い記事が、コロキャリアにはほかにもあります

「資格が無い高卒」という主語の中にも、もっと近い状況の記事があります。工場勤務を続けている人、未経験の職種を検討している人、既卒で就業経験がまだ浅い人、職歴に空白がある人です。

これらはコロキャリアの中で状況別の記事として公開しています。該当しそうな場合は、そちらもあわせて確認してください。

工場勤務を続けている場合は、資格よりも業種の選び方のほうが結果を左右します。ものづくり企業の56.1%が中途採用中心と答えた調査を含め、業種の選び方を考える材料は工場からの転職の記事にまとまっています。

既卒で就業経験がまだ浅い場合は、資格の有無より先に確認すべきことがあります。中途枠と新卒枠の両方を見る順番にまとめています。

働いていない期間がある場合は、資格の有無よりもその期間の説明のほうが先に問われます。空白の理由を一文で言える形にする手順から読んでください。

22〜25歳という年齢の刻みで何が変わるかは、20〜24歳と25〜29歳の階級で賃金の動きを比べた記事にまとめています。資格の有無より先に、その統計の区切りを確かめておくと判断しやすくなります。

転職サービスは、資格の有無を理由に断りません

お金の流れを先に明かしておきます。当サイトは転職サービスの紹介で収益を得ています。だからこそ、勧める基準と、いま利用しなくていい場合を続けて書きます。

転職エージェント(有料職業紹介)の報酬は、紹介先の企業が支払う成功報酬です。求職者は原則として無料で使えます。この構造から、次のことがいえます。

  • 書類添削・面接対策・求人情報・相場のフィードバックは、読者にとって先払いで提供される。遠慮なく受け取ってよい
  • 一方で、担当者の助言には報酬構造の影響が乗る。どの会社に行くか、いつ動くかの判断だけは自分で持つ
  • 提案される求人は「世の中の求人」ではなく、そのエージェントと契約している企業の在庫。資格を理由に断られたと感じても、それは市場全体の話とは限らない

編集部が勧める基本構成は、スカウトサービス・大手の転職エージェント・業界や職種に特化したエージェントの3つの併用です。資格の有無を気にしている場合ほど、まず職務経歴を先に見てもらい、資格が実際に必要かどうかをプロの目で確認してもらうことを編集部は勧めます。

紹介事業者が国の許可・届出を得ているかどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。許可・届出が確認できない事業者は、当サイトの紹介対象に含めていません。

利用を急がなくていい人

全員に勧めるサービスは、誰のためのものでもありません。次に当てはまる人は、いま登録しなくて構いません。

  • 応募したい業務内容がまだ決まっていない人。資格が要るかどうかは、業務内容が決まってから判断できます
  • 現職の条件が、応募を検討している求人と比べて明確に上の人。労働時間・休日にも不満がないなら、いま動く理由はありません
  • 社内で異動・昇格の話が具体的に進んでいる人。先に結果を見てから測っても遅くありません

資格を取り終えるまで動かない、という判断も急がせません。ただし、資格を取っている間に応募先の求人自体が変わることはある、という点だけは押さえておいてください。

よくある質問

Q:資格なしでも転職はできますか?

できます。中途採用の選考で企業が重視する点のうち、「専門知識や技能(資格・免許や語学力)」を挙げた事業所は34.8%で、11項目中6位です。最も多かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(72.7%)でした(厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」表4)。資格の有無だけで転職の可否は決まりません。

Q:資格なしで転職するにはどうしたらいいですか?

まず職務経歴を具体化してください。期間・役割・任された範囲・数字の4項目で書き直すと、資格欄が空白でも読まれる書類になります。そのうえで、応募先の業務内容と資格が直結する場合に限り、資格の取得を検討する、という順番を編集部は勧めます。

Q:IT業界に資格なしで転職できますか?

求人自体は存在しますが、本記事の範囲では職種ごとの詳しい判定までは扱っていません。IT関連の資格の多くは業務独占資格ではなく、無資格でも就ける求人があります。ただし、職種によって未経験者の受け入れ実績には差があるため、応募先の採用実績を個別に確認することを編集部は勧めます。

まとめ

  • 中途採用の選考で最も重視されているのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(72.7%)と「コミュニケーション能力」(66.9%)です。「専門知識や技能(資格・免許や語学力)」(34.8%)は11項目中6位、「学歴・経歴」(23.1%)は8位でした(厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」表4)
  • 資格は「業務独占資格」「名称独占資格」「技能講習・特別教育」の3種類に分かれ、高卒・未経験から検討されやすい職種の多くは業務独占資格を必要としません
  • 職務経歴は、担当した期間・役割・任された範囲・数字を使って具体化してください。記載する実績は、事実として説明できるものに限ります
  • 資格が効くのは、応募先の業務内容と資格の中身が直結している場合に限られます。資格を取るかどうかは、応募先が固まってから決めてください

この記事の数字が示す順番のとおり、最初に動かすのは資格の欄ではなく職務経歴の欄です。期間・役割・任された範囲・数字の4項目を書き出し、応募先の業務内容が固まってから、資格が本当に必要かどうかを確認してください。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の労働条件・制度の適用については、勤務先の就業規則や、都道府県労働局・ハローワークなどの公的窓口へご確認ください。


参考・出典

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