高卒の中途採用は厳しいか|企業の採用データで見る実態

高卒の中途採用の実態を採用側のデータから確認するイメージ図

「高卒だと中途採用は厳しいのではないか」——そう思って検索した方に、先に結論を書きます。中途採用は例外的なルートではなく、企業の採用の主流です。2024年の1年間に企業が受け入れた入職者は747万3,700人でした。うち65.8%にあたる492万人が転職による入職者で、新規学卒者は120万4,400人(16.1%)にとどまります(厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表1-1・表3-1、構成比は編集部算出)。

そのうえで、厳しさが本当に出る場所も書きます。それは学歴ではなく、どの職業を選ぶかです。ハローワークの求人でみた有効求人倍率は、事務の仕事が0.44倍、保安の仕事が6.22倍で、同じ時期に約14倍の開きがあります(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年3月・常用(パート含む))。

この記事では、中途採用とは何かを定義したうえで、採用する側のデータと条文で「厳しさ」の中身を分解します。求人は並べません。代わりに、応募する前に企業を数字で確認する方法を書きます。

目次

中途採用とは|企業が受け入れる人の3分の2は転職入職者です

中途採用とは、学校を卒業する見込みの人を対象にした新卒採用以外の採用のことです。 実務経験の有無は問いません。前職を辞めて次の会社に入る人も、アルバイトから正社員になる人も、離職期間をはさんで働き始める人も、企業から見ればすべて中途採用にあたります。

このセクションの要点は3つです。

  1. 「中途採用」という語には法律の条文にも登場する用法がある
  2. 企業の入職者のうち、転職による入職者が65.8%を占める
  3. 新規学卒者は16.1%で、中途採用のほうが4倍以上多い

「中途採用」は法律の条文にも出てくる言葉です

「中途採用」という言葉に定義規定を置いた法律は、編集部が確認した範囲では見当たりません。ただし、条文にこの語が使われている法律はあります。

労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)27条の2第1項は、次のように定めています(2026年8月時点)。

常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の職業選択に資するよう、雇い入れた通常の労働者及びこれに準ずる者として厚生労働省令で定める者の数に占める中途採用により雇い入れられた者の数の割合を定期的に公表しなければならない。

この条文は後半の「大手企業の中途採用に高卒で入れるか」でもう一度使います。ここで押さえておきたいのは、中途採用が「労働者の職業選択に資する」情報として、法律で公表を義務づけられるほど一般的な採用手段だという点です。

入職者747万人の内訳をみると、中途が主流だとわかります

企業がどれだけ中途採用をしているかは、公的統計で数えられます。2024年(令和6年)の1年間に、5人以上の常用労働者を雇用する事業所が受け入れた入職者は747万3,700人でした。その内訳は次のとおりです。

入職の経路 人数 入職者に占める割合(編集部算出)
転職入職者(入職前1年間に就業経験のある人) 492万人 65.8%
未就業入職者のうち新規学卒者 120万4,400人 16.1%
未就業入職者のうち新規学卒者以外 134万9,300人 18.1%
合計(入職者) 747万3,700人 100.0%

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表1-1・表3-1(2024年1年間)。割合の列と「新規学卒者以外」の人数は、同表の実数から編集部が算出しました。同じ年の離職者は719万5,300人、入職率は14.8%、離職率は14.2%です(表1-1・表1-2)。用語は同調査の定義によるもので、転職入職者は「入職者のうち、入職前1年間に就業経験のある者」、未就業入職者は「入職者のうち、入職前1年間に就業経験のない者」です。

読み取れることは2つあります。第1に、企業が受け入れた人の約3人に2人は転職入職者です。新卒は約6人に1人にすぎません。第2に、新規学卒者以外の未就業入職者が134万9,300人(18.1%)います。1年以上仕事から離れていた人が新たに入職した区分で、この入口も統計上は新卒より広いということです。

アルバイトやパートを続けてきた人は、直近1年に就業経験があるため転職入職者に含まれます。正社員経験がないことと、統計上「未就業」であることは別の話です。

2024年の入職者の内訳(転職入職者が65.8%を占める)を示す帯グラフ

なお、この統計は全学歴・全産業の集計で、高卒に限定した数字ではありません。ここは正直に書いておきます。それでも、中途採用が特別な裏口ではなく採用の本線だという前提は、学歴を問わず共通です。

「高卒の中途採用は厳しい」の中身は、学歴より職業で決まっています

このセクションが本記事の核です。結論から書きます。「厳しいかどうか」を最も大きく左右しているのは学歴ではなく、応募する職業です。同じ時期でも、職業によって求人と求職者の数の比が10倍以上違うからです。

職業別の有効求人倍率は、事務0.44倍から保安6.22倍まで開いています

有効求人倍率は、ハローワークに登録された求人数を求職者数で割った値です。1倍を超えていれば、求職者1人に対して求人が1件以上ある状態を意味します。

職業(大分類) 常用(パート含む) 常用(除くパート)
職業計 1.10倍 1.17倍
事務従事者 0.44倍 0.41倍
運搬・清掃・包装等従事者 0.68倍 0.69倍
管理的職業従事者 0.95倍 1.07倍
生産工程従事者 1.57倍 1.70倍
専門的・技術的職業従事者 1.82倍 1.91倍
販売従事者 1.88倍 2.07倍
輸送・機械運転従事者 2.08倍 2.25倍
サービス職業従事者 2.59倍 2.25倍
介護サービス職業従事者 3.63倍 3.31倍
建設・採掘従事者 4.81倍 5.41倍
保安職業従事者 6.22倍 6.12倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和8年3月分・参考統計表6(常用(パート含む))および参考統計表7-2(常用(除くパート))。2026年3月の全国計の数値です。

最も低い事務の0.44倍と、最も高い保安の6.22倍では、約14倍の開きがあります(編集部算出)。事務は求職者2人あたり求人1件に届かず、保安は求職者1人あたり6件を超えています。

注意点も先に書きます。この統計はハローワークに登録された求人と求職者だけを数えたもので、民間の求人サイトや転職エージェント経由の求人は含まれません。また、倍率は求人と求職者の数の比であって、採用される確率ではありません。倍率が高い職業は「採用する側が人を集めにくい状態にある」と読むのが正確です。

職業別の有効求人倍率(事務0.44倍から保安6.22倍まで)を示す横棒グラフ

同じ工場勤務でも、倍率は4倍以上違います

「生産工程従事者1.57倍」でひとくくりにすると、実態を見誤ります。同じ生産工程の中の内訳を見ると、次のようになります。

  • 機械整備・修理従事者:3.89倍(常用(パート含む)。除くパートは4.34倍)
  • 生産工程従事者(計):1.57倍(同1.70倍)
  • 機械組立従事者:0.83倍(同0.88倍)

出典:同上・参考統計表6/7-2。設備の保全・修理と、ラインの組立では約4.7倍の差があります(編集部算出)。どちらも「工場の仕事」ですが、採用する側の困り具合はまったく違います。

高卒で就職する人の主戦場は製造業です。2024年3月に高卒で就職した12万4,181人のうち、製造業は5万1,906人で41.8%を占めます(編集部算出。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」より「新規高卒就職者の産業別離職状況」)。すでに工場で働いている読者にとって、この内訳の差は他人事ではありません。

編集部の見方:厳しさは学歴の関数ではなく、選んだ職業の関数です

ここは事実の記述ではなく、編集部の判断として書きます。

「高卒だから受からない」と感じている人の相当数は、倍率0.4〜0.8倍の職業に応募しています。 事務、運搬・清掃・包装などがそれにあたります。これらは学歴に関係なく応募が集中する職業で、求職者のほうが多い状態が続いています。同じ人が、いま持っている経験を活かせる高倍率の職業に応募先を移すだけで、通る確率は変わりえます。

もちろん、倍率が高い職業には理由があります。夜勤がある、体力を使う、責任が重い、資格が要る——このどれかが混ざっていることが多く、倍率の高さは「誰にでも快適な仕事」を意味しません。だからこそ、自分が何を最優先するか(収入か、時間か、場所か、人間関係か)を先に決めてから倍率を見る順番になります。

そして、学歴そのものの不利がどこに出るかは、別の統計にはっきり現れます。高校卒の所定内給与は50〜54歳でピークを迎え、大学卒との差は55〜59歳で19万7,000円まで開きます(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第3表、差は編集部算出)。この賃金カーブの全体像は、親記事の高卒の転職は不利か|賃金データで見る現実と市場価値の上げ方にまとめました。不利は入口ではなく途中に出る——だから中途採用は、その途中を切り替えるための手段になります。

中途採用の選考で、学歴はどの段階で効くのか

結論から書きます。学歴が効くのは応募資格の段階までで、そこを通れば見られるものは前職の中身に置き換わります。 選考を3つの段階に分けて説明します。

親記事では「高卒の転職は厳しい」を応募資格フィルタ・初期配置の差・情報の非対称の3つに分解した表にまとめました。このうち最初の応募資格フィルタが選考のどこで効いているのかを、ここで具体化します。

中途採用の選考3段階と、学歴が効く場所を示した図

①応募資格:学歴で切られるのはこの段階だけです

求人の応募資格に「大卒以上」と書かれていれば、その求人には応募できません。ここは事実として受け止める必要があります。

ただし、学歴要件は法律が企業に書かせている情報ではありません。募集時に明示が義務づけられている項目は職業安定法5条の3第1項と同法施行規則4条の2第3項が定めていますが、その中に学歴はありません。全9項目の一覧は募集時に明示が義務づけられる9項目として親記事にまとめています。

つまり、応募資格の学歴要件はその企業が任意で付けた条件です。書いていない企業も、書き方が曖昧な企業もあります。1件の「大卒以上」を見て検索をやめると、書いていない求人までまとめて捨てることになります。

②書類選考:読まれているのは学歴欄ではありません

ここは統計ではなく、経験として書きます。当サイトの運営メンバーは事業会社で中途採用の面接官を務め、書類選考にも関わってきました。

その範囲での実感を、親記事とは別の角度で1つだけ書きます。書類選考には、応募資格を通った書類だけが回ってきます。 つまり、学歴で切る運用をしている会社では、書類が手元に届く前にその処理は終わっています。書類を読む段階で学歴欄をもう一度見て順位を付ける、という場面は、編集部が関わった範囲では多くありませんでした。実際に読まれていたのは、担当した工程・設備・人数・期間といった、仕事の輪郭がわかる記述のほうです。

これは一事業会社での経験であり、業界・企業規模・職種によって事情は異なります。統計として一般化はできません。それでも、応募資格を通す工夫(応募先の選び方)と、書類の中身を具体化する工夫は、別々の対策だという整理は使えるはずです。

③面接:確認されているのは「同じ理由でまた辞めないか」です

中途採用の面接で聞かれることは、突き詰めると2つです。1つは前の職場で何をしていたか、もう1つはなぜ辞める(辞めた)のかです。

後者は責める質問ではなく、確認の質問だと考えて構いません。採用する側は、同じ理由が新しい職場でも起きないかを見ています。ですから、答えの型は「事実を短く言う→その環境で何をしたか→次の職場に何を求めるか」の3文で足ります。前の職場を悪く言わないほうがよいのは、印象の問題ではなく、再現性の判断材料にされるからです。

なお、当サイトは経歴詐称・学歴詐称を一切扱いません。発覚したときに失うものが大きすぎるうえ、上の①〜③のどこも解決しないからです。

大手企業の中途採用に高卒で入れるか

結論から書きます。入口はありますが、まず確認すべきは「その会社が中途採用でどれだけ人を採っているか」で、これは法律で公表が義務づけられています。

300人を超える企業には、中途採用比率の公表義務があります

先ほど引用した労働施策総合推進法27条の2第1項をもう一度使います。同項の対象は、常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主です。対象となる事業主は、雇い入れた通常の労働者等の数に占める中途採用者の割合を、定期的に公表しなければなりません(2026年8月時点)。

条文には「労働者の職業選択に資するよう」という目的が書かれています。つまりこの数字は、応募する側が使うために公表されているデータです。遠慮なく使ってください。

確認できる場所は次のとおりです。

  • 企業の採用ページ・企業情報ページ(「中途採用比率」の項目)
  • 厚生労働省が運営する職場情報総合サイト「しょくばらぼ」(企業の職場情報を検索・比較できます)

なお、公表の方法や頻度は厚生労働省令の定めによります。本記事では該当する省令の条番号を確認できていないため、公表の回数や対象期間には踏み込みません。気になる場合は、企業の公表ページの記載日を直接確認してください。

法律が言う「300人超」と、賃金統計の「大企業」は別の線です

用語の混同が起きやすいので分けておきます。

区分 基準 何のための区分か
中途採用比率の公表義務の対象 常時雇用する労働者が300人超 労働施策総合推進法27条の2第1項
賃金統計の「大企業」 常用労働者1,000人以上 賃金構造基本統計調査の集計区分(中企業100〜999人、小企業10〜99人)

読者が「大手」と呼んでいる会社が、どちらの線の内側にいるのかで見える情報が変わります。従業員301人の会社にも中途採用比率の公表義務はかかります。

企業規模で、月8万円近い賃金差があります

大手を狙う理由が収入なら、規模による差の大きさも数字で押さえておくと判断が早くなります。

企業規模 所定内給与(男女計) 規模間賃金格差(大企業=100)
大企業(1,000人以上) 38万5,100円 100
中企業(100〜999人) 32万6,200円 84.7
小企業(10〜99人) 30万5,600円 79.4

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」(4)企業規模別にみた賃金・第4表(一般労働者・男女計、2025年6月分の所定内給与)。企業規模の区分は同調査の用語の解説によります。

大企業と小企業の差は月7万9,500円です(編集部算出)。単純に12倍すると年95万4,000円の差になります(編集部算出。賞与を含まない所定内給与のみの参考値)。ただしこれは全学歴・全産業の平均であり、同じ大企業の中でも職種と地域で幅があります。

編集部の見方:大手は「規模」ではなく「中途の枠」で選ぶ

編集部の判断を書きます。大手を狙うこと自体は合理的です。ただし社名の知名度で選ぶことは勧めません。

見るべき順番は次の3つです。

  1. 中途採用比率——公表義務の対象なら、まずこの数字を見る。低い会社は、新卒で入った人が中心の組織である可能性が高い
  2. 募集している職種——同じ会社でも、技能職・現場職の募集と総合職の募集では応募資格が違うことがあります。会社単位ではなく求人単位で応募資格を見る
  3. グループ会社・関連会社——親会社と同じ事業を担う会社が、別の応募資格で募集している場合があります

「大手・有名企業なら安定」という通説を、編集部は採りません。読者が名前を知っている会社が良い会社なら、口コミサイトはこの世に要らないからです。看板ではなく、公表されている数字と募集要項で評価してください。

中途採用の応募者が使える情報は、新卒とは別物です

ここは競合の記事にほとんど書かれていない論点なので、丁寧に説明します。結論は、新卒向けに用意されている情報提供の仕組みは、中途採用には及びません

新卒向けの「青少年雇用情報」は、中途採用の応募者には使えません

若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)13条は、見出し「青少年雇用情報の提供」として、次の義務を定めています(2026年8月時点)。

  • 1項:学校卒業見込者等であることを条件とした労働者の募集を行うときは、青少年雇用情報を提供するように努めなければならない(努力義務)
  • 2項:その募集に応じ、または応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならない(義務)

条文の対象は「学校卒業見込者等であることを条件とした募集」です。したがって、中途採用の求人に応募する読者は、この規定を根拠に離職率などの提供を求めることはできません。「離職率は法律で開示させられるから面接で聞けばいい」という説明を見かけたら、それは新卒領域の制度と取り違えています。

では中途採用の応募者には何もないのか、というとそうではありません。使えるものが3つあります。

使えるもの 根拠 何がわかるか
中途採用比率の公表 労働施策総合推進法27条の2第1項 その会社が中途でどれだけ採っているか(300人超の事業主が対象)
求人情報の的確表示 職業安定法5条の4第1項・2項 求人票の内容が虚偽・誤解を生じさせるものであってはならない。募集を行う者は正確かつ最新の内容に保たなければならない
雇入れ時の労働条件明示 労働基準法15条1項 契約締結の際に、賃金・労働時間その他の労働条件が明示される
新卒と中途採用で応募者が使える法定情報の違いを比較した図

質問して答えが返らないこと自体が、判断材料になります

中途採用では、離職率や残業の実績を「答えさせる」根拠がありません。だからこそ、答えたか、答えなかったか、その反応自体を判断材料にしてください、というのが編集部の立場です。

聞き方は具体的にします。「離職率を教えてください」よりも、次のほうが答えが返ってきます。

  • この職種で、直近1年に入社した人は何人ですか
  • その中で、今も在籍している人は何人ですか
  • 配属予定の部署の、直近の平均残業時間は月何時間ですか

答えを渋る、数字を持っていない、質問をはぐらかす——このいずれかが起きた場合、編集部はその求人を積極的には勧めません。該当したら即アウトという意味ではなく、応募前に確認すべき点として扱う、という運用です。

求人票と実際の条件が違ったときに使える条文があります

これは知っておくと立場が変わります。

まず、求人情報の側です。職業安定法5条の4第1項は、労働者の募集に関する情報を提供するときに「虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない」と定めています。同条2項は、募集を行う者と募集受託者に対し、募集に関する情報を「正確かつ最新の内容に保たなければならない」と義務づけています。

次に、入社時です。労働基準法15条1項は、労働契約の締結に際して労働条件を明示することを使用者に義務づけています。そして同条2項は、こう定めています。

前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

求人票は広告ではなく、その先に法律の裏づけがある書類です。入社前に受け取る労働条件通知書と求人票を必ず突き合わせてください。賃金、労働時間、休日、就業場所、契約期間——この5点がずれていないかを見ます。

なお、「正社員募集」と書かれていても契約期間の欄が「期間の定めあり」になっている求人があります。その見分け方は求人票の契約期間欄で「本当に正社員の募集か」を判定する手順に詳しくまとめました。

※本セクションの条文の内容は2026年8月時点のものです。個別の求人・契約について判断が必要な場合は、都道府県労働局・労働基準監督署・ハローワークなどの公的窓口へご確認ください。

中途採用に向けて、今日からできること

理解したあとにやることは、応募ではなく確認です。順番があります。

  1. 自分の職業の有効求人倍率を確認する——いまの仕事が上の表のどの区分にあたるかを見る。職業計1.10倍(2026年3月)より上か下かで、動き方が変わります
  2. 応募先候補の中途採用比率を調べる——300人を超える事業主なら公表されています。採用ページか「しょくばらぼ」で確認します
  3. 自分の値札(市場価値)を測る——スカウトサービスに職務経歴を登録し、どんな職種でいくらの提示が来るかを見ます。来ないという結果も情報です
  4. 求人票を職種で10件並べる——同じ職種で応募資格と賃金額を比べると、自分の経験年数で届く帯が見えてきます

在職中に進めるのが基本です。収入が続いていれば、条件の悪い1社に焦って決めずに済みます。

サービスの位置づけも先に書いておきます。転職エージェント(有料職業紹介)の報酬は、紹介先の企業が支払う成功報酬です。求職者は原則として無料で使えます。書類添削・面接対策・相場のフィードバックは読者にとって先払いで提供されるものなので、遠慮なく受け取って構いません。一方で、どの会社に行くか、いつ動くかの判断だけは自分で持ってください。提案される求人は「世の中の求人」ではなく、そのエージェントと契約している企業の在庫だからです。

用語の区別も押さえておきます。転職エージェントは有料職業紹介、転職サイト・スカウトサイトは募集情報等提供で、法律上の位置づけが違います。事業者が国の許可・届出を受けているかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで誰でも確認できます。当サイトは、許可・届出を確認できない事業者を勧めません。

登録しなくていい人

全員に勧めるサービスは、誰のためのものでもありません。次に当てはまる人は、いま登録しなくて構いません。

  • いまの職業の有効求人倍率が高く、現職の賃金が上の企業規模別の表を明確に上回っている人。労働時間・休日にも不満がないなら、いま動く理由はありません
  • 社内で異動・昇格の話が具体的に進んでいる人。先に結果を見てから測っても遅くありません
  • 何を最優先するかがまだ決まっていない人。ただしこの場合も、自分の職業の有効求人倍率を見る(上の1)だけは先に済ませてください

「今すぐ登録しないと損」という書き方も使いません。今すぐかどうかは読者の都合であって、紹介する側の都合で決めることではないからです。

よくある質問

Q:高卒者の中途採用は厳しいですか?

応募できる求人の数では不利ですが、中途採用そのものが狭き門というわけではありません。 2024年の入職者747万3,700人のうち65.8%は転職による入職者で、新規学卒者(16.1%)の4倍以上です(令和6年雇用動向調査結果の概況・表1-1・表3-1、構成比は編集部算出)。厳しさが大きく変わるのは職業のほうで、有効求人倍率は事務0.44倍から保安6.22倍まで開いています(一般職業紹介状況・2026年3月・常用(パート含む))。「高卒だから」で一般化する前に、応募先の職業を見直すことを編集部は勧めます。

Q:中途採用とは何ですか。高卒でもなれますか?

中途採用とは、学校を卒業する見込みの人を対象にした新卒採用以外の採用のことで、学歴を問わず応募できる求人は実在します。 学歴要件は法律が書かせている項目ではなく、企業が任意で付けている条件だからです(募集時の明示事項は職業安定法5条の3第1項・同法施行規則4条の2第3項)。実務経験の有無も問いません。アルバイトから正社員になる人も、離職期間のある人も、企業から見れば中途採用にあたります。

Q:高卒の中途採用でおすすめの職種は?

編集部は職種名の一覧を出さず、選ぶための物差しを渡します。 求人が多い職種から先に決めると、自分が何を最優先するかが後づけになるからです。物差しは次の3つです。

  • その職業の有効求人倍率が職業計(2026年3月で1.10倍)より上かどうか
  • いまの職種の経験をそのまま持ち込めるかどうか
  • 続けた年数や資格が賃金に反映される仕組みがあるかどうか

職種を変えると経験がリセットされますが、職種を保ったまま業界を変えるだけなら経験は持ち込めます。

Q:高卒で中途採用をするには卒業証明書は必要ですか?

提出を求めるかどうかは企業の運用によって異なります。 中途採用で卒業証明書の提出を一律に義務づける法令は、編集部が確認した範囲では見当たりません。実務上は、入社手続きの書類として求める会社もあれば、求めない会社もあります。求められたら在籍していた高校に発行を申請してください。なお、当サイトは学歴詐称・経歴詐称を一切扱いません。発覚したときに失うものが大きすぎるためです。

まとめ

  • 中途採用は例外ルートではなく採用の主流です。 2024年の入職者747万3,700人のうち65.8%が転職による入職者で、新規学卒者は16.1%(構成比は編集部算出)
  • 新規学卒者以外の未就業入職者(1年以上仕事から離れていた人)が134万9,300人(18.1%)います。この入口も新卒より広い
  • 「厳しい」の中身は学歴ではなく職業に出ます。有効求人倍率は事務0.44倍から保安6.22倍まで約14倍の開きがあり、同じ工場勤務でも機械整備・修理3.89倍と機械組立0.83倍で約4.7倍違います(2026年3月・常用(パート含む))
  • 学歴が効くのは応募資格の段階までです。学歴要件は法律が書かせている項目ではなく、企業の任意記載です
  • 300人を超える事業主には中途採用比率の公表義務があります(労働施策総合推進法27条の2第1項)。大手は看板ではなくこの数字で選びます
  • 新卒向けの青少年雇用情報は中途採用には及びません(若者雇用促進法13条)。代わりに使えるのは的確表示(職業安定法5条の4)と雇入れ時の明示(労働基準法15条)で、明示された条件が事実と相違する場合は即時に契約を解除できます(同条2項)

編集部の結論を、軸ごとに書きます。収入を最優先するなら、いまの職種を保ったまま、有効求人倍率が職業計より高い職業・企業規模の大きい会社へ移ることを勧めます。時間や働く場所を最優先する人には、倍率の高さだけで決めることを勧めません。夜勤・体力・責任のいずれかが混ざっている場合が多いためです。現職の賃金が企業規模別の表を明確に上回っていて、労働時間にも不満がない人は、いま動く必要はありません。

応募前に確認するのは5つです。中途採用比率、募集職種の応募資格、賃金の額、労働時間と休日、そして就業場所と業務内容の変更の範囲。現職と比べる項目も同じで構いません。

今日やることは1つです。自分の職業の有効求人倍率と、気になっている会社の中途採用比率を調べてください。応募はそのあとで間に合います。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の労働条件・制度の適用については、勤務先の就業規則や、都道府県労働局・労働基準監督署・ハローワークなどの公的窓口へご確認ください。


参考・出典