中卒・高卒の転職

30代の高卒転職|「35歳の壁」を統計で確かめる

30代の高卒転職を、35歳を境目にした2つの年齢階級として示すイメージ図
コロキャリア編集部

国の統計が「30代」を割るのは、35歳です。30〜34歳と35〜39歳で、実際に転職する人の割合は男性で10.3%から7.9%へ下がります。ところが、転職して賃金が増えた人の割合は46.1%から45.5%へ、ほとんど変わりません(厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」)。動く人は減っても、動いて得する確率はほぼ変わらない——これが実際の数字です。

この記事は、30〜34歳と35〜39歳で何が変わり、何が変わらないかを、統計で言える範囲と編集部の当てはめとを分けて整理します。35歳を過ぎたら遅い、という思い込みだけで動くのをやめる必要はありません。

結論:30〜34歳と35〜39歳で、変わる数字と変わらない数字

先に全体の見取り図を示します。

  1. 賃金カーブの学歴差は、30代のうちにも広がります(高校卒と大学卒の差が6万4,100円から8万5,600円へ)
  2. 転職する人の割合は、35歳を境に下がります(男10.3%→7.9%、女13.2%→10.5%)
  3. 転職して賃金が増えた人の割合は、35歳を境にほとんど下がりません(46.1%→45.5%)
  4. 高卒の平均勤続年数14.2年に、18歳で就職したと仮定すると32歳前後で到達します(編集部算出)

動く人は減っても、動いて得する確率はほぼ変わらないというのが本記事の核です。ここから先、統計の区切り方と、その読み方を順に見ていきます。

30〜34歳から35〜39歳にかけて、転職する人の割合と得する人の割合が別々の動き方をすることを示す図

国の統計が「30代」を割るのは35歳です

高卒の賃金・転職を扱う統計として、編集部は2026年9月22日に厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「雇用動向調査」を確認しました。いずれの年齢階級も5歳刻みです。編集部が確認した範囲では、30〜34歳と35〜39歳という2つの階級の外側に出て、単年齢で「30代」を語れる公的統計は見当たりません。

指標 30〜34歳 35〜39歳 差(編集部算出)
高校卒の所定内給与(月額・男女計) 27万6,200円 29万6,600円 +2万400円
大学卒の所定内給与(月額・男女計) 34万300円 38万2,200円 +4万1,900円
高校卒と大学卒の差 6万4,100円 8万5,600円 +2万1,500円
転職入職率(男) 10.3% 7.9% −2.4ポイント
転職入職率(女) 13.2% 10.5% −2.7ポイント
転職して賃金が「増加」した人の割合 46.1% 45.5% −0.6ポイント

出典:編集部が2026年9月22日に原典PDFを開いて確認した内容です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第3表「学歴、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」/同「令和6年雇用動向調査結果の概況」図4-1「性、年齢階級別転職入職率」・表6「転職入職者の賃金変動状況別割合」。全学歴・全産業計)。差の列はいずれも原典の値から編集部が算出しました。転職入職率と賃金変動割合は別々の調査項目であり、この2つを足したり引いたりはできません(母集団・集計方法が異なるため)。

読み取れることを整理します。第1に、高校卒と大学卒の賃金差は、30代のうちにも2万1,500円広がります。第2に、転職する人の割合は35歳を境に大きく下がりますが、転職して賃金が増えた人の割合はほとんど動きません。この2つ目の非対称が、次の見出しの主題です。

「35歳を過ぎると転職は厳しい」を、2つの指標に分けて確かめる

「35歳で転職するのは厳しいですか?」という検索は実際に多く見られます。厳しくなっているのは「動く人の数」であって、「動いた人が得する確率」ではありません。この2つを分けずに語ると、実態より悲観的な結論になります。

転職する人の割合は、35歳を境に下がっています

転職入職率は、その年齢層の労働者のうち1年間に転職で入職した人の割合です。30〜34歳から35〜39歳にかけて、男性は10.3%から7.9%へ、女性は13.2%から10.5%へ下がります(前掲・図4-1)。実際に動く人の比率そのものは、この境目で確かに減ります。

転職して得する人の割合は、35歳を境にほとんど下がっていません

一方、転職した人のうち賃金が「増加」した割合は、30〜34歳46.1%、35〜39歳45.5%で、差はわずか0.6ポイントです(前掲・表6)。全年齢階級の中でこの割合が最も高いのは20〜24歳の50.5%です。25〜29歳46.3%・30〜34歳46.1%・35〜39歳45.5%・45〜49歳46.4%までは、ほぼ横ばいで推移しています。

数字が大きく落ちるのは50〜54歳39.0%・55〜59歳27.4%からで、その全体像は転職で賃金が増えた人が4割を超えるという厚労省データにまとめています。「35歳」という年齢そのものに、賃金増加の確率を下げる効果は、この統計を見るかぎり見当たりません。

ここは事実の記述ではなく、編集部の解釈として書きます。2つの指標は、分母が違います。転職入職率の分母は「その年齢層の労働者全体」、賃金変動の「増加」割合の分母は「実際に転職した人」です。

35歳を過ぎると転職する人自体が減るのは、勤続年数が積み上がって理由が減ることや、住宅・家族の事情で動きにくくなる人が増えることが考えられます。ただし、動いた人が得する確率までは下がっていません。「35歳を過ぎたら不利になる」のではありません。「35歳を過ぎると、動くという選択そのものを取る人が減る」という形に近いと編集部は見ています。

コロキャリアの通説への異議は、この記事にも当てはまります。限界があるのは年齢ではなく、その年齢まで市場価値を一度も測ってこなかったことのほうだ、というのが編集部の立場です。35歳という数字が応募者を弱くするのではありません。動く人が減るぶん、比較される相手の数自体が変わるだけです。

30代の中でも、学歴差は広がり続けています

高校卒と大学卒の賃金差は、30〜34歳の6万4,100円から35〜39歳の8万5,600円へ、2万1,500円広がります(編集部算出)。この30代の10年間だけを見ても、大学卒の賃金は4万1,900円伸びるのに対し、高校卒は2万400円しか伸びていません。大学卒の伸び幅は、高校卒のおよそ2倍です(41,900÷20,400=約2.05倍。編集部算出)。

この調査は差の理由まで示していません。そのうえで編集部の見方を書きます。学歴そのものが2万円分の仕事の違いを生んでいるとは考えていません。

学歴で分かれた初期配置(どの業界・どの職種で、どこまでの仕事を任されたか)が、20代・30代と積み重なって賃金差になったと編集部は見ています。だとすれば、30代のうちに手を付けるべきは学歴の取り直しではなく、置かれる場所の見直しです。

30代固有の単位で見る:勤続年数・応募資格・生活の固定費

30代を年齢の数字だけで語ると、20代とは違う3つの単位が見えなくなります。勤続年数・求人の応募条件・生活の固定費です。

高卒の平均勤続年数14.2年に、18歳入社なら32歳前後で到達します

高校卒の平均勤続年数は14.2年です(前掲・第3表、年齢計の行)。18歳で高校を卒業してすぐに就職したと仮定すると、この平均勤続年数に到達するのはおおむね32歳前後になります(18+14.2=32.2。編集部算出)。

これは公的統計ではなく、単純な足し算による編集部の目安です。転職・転校・浪人などで卒業年齢が後ろにずれている場合は、自分の年齢で数え直してください。

30代前半で「平均的な勤続年数」に届くという事実は、転職市場でどう見られるかとは別の話です。長く勤めたことが評価される場面もあれば、経験の幅が狭いと見られる場面もあります。次の見出しで、この点を経験として書きます。

求人の年齢条件は、35歳前後で切り替わることがあります

募集・採用における年齢の扱いには、労働施策総合推進法9条の規定があります。原則は「年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」ですが、例外は厚生労働省令で定める場合に限られます。実務では、求人票に「35歳以下」のような条件が付くことがあり、30代後半に入ると、それまで目にしていた求人の一部が条件から外れる、という変化が起きます。

この条件がなぜその年齢で引かれているのかは、求人ごとに理由が異なります。気になる場合は、応募先に直接確認するのが確実です、というのが編集部の立場です。年齢条件の有無にかかわらず、求人票の契約期間・就業場所の変更の範囲・賃金の額は、応募前に必ず確認してください。中途採用で応募者が確認できる法定の情報(中途採用比率の公表義務など)は、中途採用で応募者が使える法定情報を整理した記事にまとめています。

30代の中途採用で、実際に比較されるもの

ここは統計ではなく、経験として書きます。当サイトの運営メンバーは、採用側として中途採用の選考に関わり、書類選考や面接を担当してきました。延べ100人以上と面接した中で感じたことを、ここでは経験として書きます。

その範囲での実感です。20代の応募者は「今後どれだけ伸びるか」を見られる場面が多くあります。一方、30代の応募者は「いま何ができて、入社後どこから任せられるか」を先に見られる場面が増えます。同じ「未経験可」の求人でも、応募者が30代であれば、面接で聞かれる質問の具体性が上がる、という実感があります。

これは一事業会社での経験であり、業界・企業規模・職種によって事情は異なります。統計として一般化はできません。それでも、年齢そのものより「いま任せられる中身を一言で言えるか」を先に固める価値があるという点で、力を入れる先ははっきりしていると編集部は考えます。

生活の固定費が、20代とは違うリスクの取り方を求めることがあります

住宅ローンを組んでいる、扶養家族がいるなど、30代は生活の固定費が積み上がっている場合があります。転職で取れるリスクの大きさは、20代のときと同じ基準では測れない、というのが編集部の考えです。収入を落とさずに動けるかどうかを、応募の前に確認しておく価値があります。

この点は統計で示せる論点ではありません。あくまで編集部の見方として書いています。収入を落とさないことを最優先に置くなら、いまの職種を変えずに業界だけを選び直す動き方のほうが手堅いと編集部は考えます。未経験の職種に飛び込むより、まず業界だけを変える道を検討する価値があります。

30代前半と30代後半で、最初の一手は変わります

同じ「30代の高卒転職」でも、30〜34歳と35〜39歳では最初にやることが少し変わります。

30代前半(30〜34歳)

動く人の割合そのものが、30代の中では相対的に高い時期です。転職して賃金が増えた人の割合も46.1%と、20代後半とほぼ同水準を保っています。いま動くかどうかを迷っている場合も、迷っている時間自体が選択肢を減らすわけではありません。それでも、先に自分の値札(市場価値)を測ってから判断する価値は大きいと編集部は考えます。

30代後半(35〜39歳)

動く人の割合は下がりますが、動いた人が得する確率はほとんど変わりません。求人の年齢条件に引っかかる機会が増えるぶん、母集団を自分で狭めないことが重要になります。学歴不問・年齢不問の求人が集まる経路(スカウトサービス・特化型エージェント)を先に確保しておくと、条件に合わない求人を見て気落ちする回数を減らせます。

この記事のほかに、近い状況の記事もあります

「30代の高卒」という主語の中にも、もっと近い状況の記事があります。20代からの続きを知りたい人、工場勤務を続けている人、資格を持たない人、中卒の人です。

これらはコロキャリアの中で年代・状況別の記事として公開しています。該当しそうな場合は、そちらもあわせて確認してください。

30代の前に、20代でどう変わってきたかを確認したい場合は、20代の高卒転職を扱った記事にまとめています。22〜25歳の統計と、30代の統計は使う年齢階級そのものが違います。

工場勤務を続けてきた30代なら、いまの職種のまま移れる勤め先を先に数えておくと、続けやすさの面から比べやすくなります。高卒で製造業に入った人の3年後を業種別に並べた記事に、その比較の材料をまとめています。

資格を持たないことを理由に応募をためらっている場合は、満15〜34歳の採用を尋ねた国の調査で、選考での資格の位置を確かめてください。35歳以上にそのまま当てはまるとは限らないため、30代後半の人は目安として読んでください。

中卒の場合は、ここで比べた月給と勤続年数が高卒と大卒の区分から取った数字なので、そのままは当てはまりません。学歴別の賃金表に中学の列を探した記事で、中卒の給料をどこまで統計で追えるかを確かめています。

転職サービスを使うなら、報酬の出どころを先に確認する

当サイトは転職サービスの紹介で収益を得ています。だからこそ、勧める基準と、いま登録しなくていい場合を先に書きます。

転職エージェント(有料職業紹介)の報酬は、紹介先の企業が支払う成功報酬です。求職者は原則として無料で使えます。この構造から、次のことがいえます。

  • 書類添削・面接対策・求人情報・相場のフィードバックは、読者にとって先払いで提供される。遠慮なく受け取ってよい
  • 一方で、担当者の助言には報酬構造の影響が乗る。どの会社に行くか、いつ動くかの判断だけは自分で持つ
  • 提案される求人は「世の中の求人」ではなく、そのエージェントと契約している企業の在庫。母集団を他人に決めさせないため、入りたい企業のリストは自分で持つ

編集部が勧める基本構成は、スカウトサービス・大手の転職エージェント・業界や職種に特化したエージェントの3つの併用です。30代後半で求人の年齢条件に当たりやすい場合は、母集団が広いスカウトサービスを先に確保してください。専門性の高い求人を持つ特化型エージェントも、あわせて使うと動きやすくなります。

用語の区別も押さえておいてください。転職エージェントは有料職業紹介、転職サイト・スカウトサイトは募集情報等提供で、法律上の位置づけが違います。国の許可・届出を得ている事業者かどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。許可・届出が確認できない事業者は、当サイトでは扱いません。

今回、登録を見送っていい人

全員に勧めるサービスは、誰のためのものでもありません。次に当てはまる人は、いま登録を見送って構いません。

  • 現職の条件が、本記事の賃金表と比べて明確に上で、労働時間・休日にも不満がない人
  • 半年以内に社内で異動・昇格の話が具体的に進んでいる人。先に結果を見てから測っても遅くありません
  • 転職の軸(収入・時間・場所・人間関係)がまだ決まっていない人。ただしこの場合も、本記事の賃金表で自分の年齢階級の水準を確認するところまでは先に済ませてください

今日中に決める必要はありません。自分のペースで、まず数字を確認してください。

よくある質問

Q:30代高卒におすすめの転職エージェントは?

現時点では特定のサービス名を挙げていません。編集部が勧める基準は、①国の許可・届出を確認できること ②実際の求人・提案内容で比較すること ③手数料や報酬の仕組みを理解したうえで使うこと、の3つです。基本構成は、スカウトサービス・大手の転職エージェント・業界や職種に特化したエージェントの3つの併用です。サービス名だけで選ばず、保有求人・担当者の質・提案内容で比較してください。

Q:30代後半で転職するのはきついですか?

「きつい」の中身を分けて考える必要があります。実際に転職する人の割合は、30〜34歳から35〜39歳にかけて男性で10.3%から7.9%へ下がります。一方、転職して賃金が増えた人の割合は46.1%から45.5%と、ほとんど下がりません(いずれも前掲統計)。動く人自体が減るという意味では「きつくなる」といえますが、動いた人が損をしやすくなるわけではありません。

Q:35歳で転職するのは厳しいですか?

厳しくなるのは「動く人の数」で、「動いた人が得する確率」ではありません。転職して賃金が増えた人の割合は、25〜29歳46.3%・30〜34歳46.1%・35〜39歳45.5%・45〜49歳46.4%まで、ほぼ横ばいで推移します(前掲・表6)。数字が大きく落ちるのは50〜54歳39.0%からです。35歳という年齢そのものに、賃金増加の確率を下げる効果は、この統計を見るかぎり見当たりません。

まとめ

  • 国の統計が「30代」を割るのは35歳です。編集部が2026年9月22日に厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「雇用動向調査」を確認しました。その範囲では、30〜34歳と35〜39歳という2つの階級の外側に出て、単年齢で「30代」を語れる公的統計は見当たりません
  • 高校卒と大学卒の賃金差は、30〜34歳の6万4,100円から35〜39歳の8万5,600円へ、2万1,500円広がります(編集部算出)
  • 転職する人の割合は35歳を境に下がります(男10.3%→7.9%、女13.2%→10.5%)が、転職して賃金が増えた人の割合はほとんど下がりません(46.1%→45.5%)
  • 高卒の平均勤続年数14.2年に、18歳入社なら32歳前後で到達します(編集部算出)。求人の年齢条件は35歳前後で切り替わることがあり、生活の固定費も20代とは変わってきます
  • 収入を最優先するなら、35歳を理由に動くのを先延ばしにする根拠はありません。家族・生活の安定を最優先するなら、いまの職種のまま業界だけを選び直す動き方のほうが、未経験の職種に飛び込むより手堅いと編集部は考えます

ここから動くとしたら、最初にするのは新しい職場を探すことではありません。自分の月給と、本記事の年齢階級表を並べることです。応募前に確認すべきなのは、求人票の契約期間・就業場所の変更の範囲・賃金の額、そして自分がいま何年目にあたるかです。現職と比べる項目も同じで構いません。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の労働条件・制度の適用については、勤務先の就業規則や、都道府県労働局・ハローワークなどの公的窓口へご確認ください。


参考・出典

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