中卒・高卒の転職

高卒工場勤務からの転職|求人倍率で見る業種の選び方

同じ工場勤務でも業種によって求人の出やすさが変わることを示すイメージ図
コロキャリア編集部

「高卒 工場 転職」で検索すると、上位の記事の多くは「事務職」「介護職」「営業職」のようなおすすめの転職先を並べています。本記事では、そのおすすめを職業名の印象ではなく、厚生労働省の統計データで裏づけます。工場勤務が含まれる生産工程従事者の有効求人倍率は1.57倍〜1.70倍で、全職業平均の1.10倍〜1.17倍を上回ります(2026年3月分、常用パート含む/除くの順)。同じ工場の仕事の中でも、金属加工という一つの職種だけで倍率は2.67倍から7.93倍まで開きます。

編集部はこれを、学歴ではなく「どの業種を選ぶか」の問題だと考えています。当サイトは転職を決める・測る・置く・積む・換えるという5つの工程で考えます。本記事はこのうち「置く」と「積む」を、工場勤務という立場に絞って掘り下げます。

想定しているのは、地方の工場で二交替勤務をしながら、この会社にこの先何十年もいる自分を思い描けずにいる人です。転職サイトに登録しても、目に入る求人の応募資格が「大卒以上」だったことで検索をやめた経験がある人も、この記事の対象に含まれます。

「工場からの転職は難しい」を、求人倍率で数えなおす

「工場への転職は難しいですか」という疑問には、まず全体の水準で答えます。2026年3月分の有効求人倍率は、全職業平均で1.10倍(常用・パート含む)/1.17倍(同・除くパート)でした。工場勤務の中心である生産工程従事者は1.57倍/1.70倍で、平均を上回っています(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年3月分)。

ただし「生産工程従事者」は溶接・組立・検査・設備保全などを束ねた大きな区分です。同じ区分の内側でも、保全と組立で4倍以上に分かれる有効求人倍率のとおり、設備保全3.89倍に対し機械組立は0.83倍です。本記事では、その内側にあるもう一段細かい区分——金属を加工する仕事そのもの——を見ていきます。

他サイトの多くは「事務職」「介護職」のように業種・職種の名前を挙げるだけで、数字の裏づけを示していません。編集部はこの並べ方を採用しません。値札が上がるのは、市場が伸びていて、かつ人手の供給が追いついていない場所に限られるからです。

有効求人倍率を職業計から金属加工の個別職種まで4段階に分解した図解

いまの仕事は「操作して作る」071か「機械を見張る」067か

求人票や職業分類では、金属製品を扱う技能職が二つの区分に分かれています。厚生労働省編職業分類でいう「071 製品製造・加工処理工(金属製品)」は、機械器具や道具を用いて製造・加工処理に直接従事する仕事です。もう一方の「067 生産設備オペレーター(金属製品)」は、自動化された生産設備を操作して工程を監視・調整する仕事です(出典:労働政策研究・研修機構「第5回改定厚生労働省編職業分類の解説」)。

NC旋盤やプレス機を自分の手と判断で直接動かしているなら071、ラインの自動設備を見張りながら異常時だけ操作するなら067にあたる可能性が高いといえます。求人票では「機械オペレーター」「製造スタッフ」のように呼び方が統一されていないため、募集要項の作業内容欄を具体的に読むことが必要です。

二つの区分は、有効求人倍率でも大きく違います。071相当の有効求人倍率は2.08倍/2.29倍(常用パート含む/除く)である一方、067相当は0.98倍/1.06倍にとどまります(2026年3月分)。手を動かして加工する仕事のほうが、いま人手不足が強い、というのが統計から読み取れる形です(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年3月分・職業安定業務統計)。

071と067の職業区分の違いと有効求人倍率を比較した図解

金属を加工する仕事だけでも、求人倍率は2.67倍から7.93倍まで開く

071の中身は、さらに14の小分類に分かれています。このうち有効求人倍率を確認できる8つの職業を、倍率が低い順に並べました。

職業 有効求人倍率(常用・パート含む) 月額求人賃金 平均年収 平均年齢
溶接工 2.67倍 25.4万円 454.7万円 41.8歳
汎用金属工作機械工 2.69倍 23.9万円 483.9万円 42.8歳
NC工作機械オペレーター 3.33倍 24.1万円 483.9万円 42.8歳
金属プレス工 3.4倍 23.0万円 458.1万円 42.7歳
鋳造工・鍛造工 5.56倍 23.6万円 507.5万円 43.4歳
めっき工 6.77倍 23.3万円 448.5万円 43.1歳
鉄工・製缶工(鉄骨工) 7.64倍 25.4万円 506.6万円 43.5歳
建築板金 7.93倍 25.9万円 454.2万円 43歳

出典:厚生労働省job tag(職業情報提供サイト)。有効求人倍率は令和6年度ハローワーク求人統計データ、月額求人賃金・平均年収・平均年齢は令和7年賃金構造基本統計調査等に基づく(2026年8月4日に編集部が確認した内容として記録されているものを使用)。

表の読み方には注意が要ります。有効求人倍率は令和6年度のハローワーク求人統計、年収・年齢は賃金構造基本統計調査など別の調査に基づいており、時点も母集団も異なります。二つを足し引きせず、それぞれ別の事実として読んでください。

汎用金属工作機械工とNC工作機械オペレーターは、平均年収・平均年齢が同じ数値になっています。これは職業分類上、この二つが賃金統計の集計単位を共有しているためで、実際の年収差を示すものではありません。有効求人倍率と月額求人賃金だけは別々に集計されており、NC工作機械オペレーターのほうが倍率がやや高くなっています。

溶接工とめっき工・建築板金を比べると、同じ「金属加工」という職種の中だけで2.67倍から7.93倍まで、約3倍の開きがあります(編集部算出)。倍率が高い職業には理由があります。屋外作業、薬品を扱う工程、高所作業など、負担の大きい条件が混ざっていることが多いためです。倍率の高さだけで職業を選ぶのではなく、自分がいま負担に感じている条件と引き換えになっていないかを確認しておく必要があります。

金属加工の職業別有効求人倍率を溶接工から建築板金まで比較した横棒グラフ

中小メーカー現場の書類で、工場出身者が損をしている書き方

ここからは統計ではなく、経験として書きます。当サイトの運営メンバーには、事業会社で採用に携わり、これまでに100人を超える中途採用の選考に関わってきた経歴があります。

その範囲での実感を1つ挙げます。工場勤務からの応募書類には、「製造ライン業務に従事」「機械オペレーション担当」とだけ書かれたものが少なくありませんでした。担当した機械の種類、扱った金属の種類、任された工程の範囲まで書かれている書類のほうが、採用側には情報として残ります。

これは一事業会社での経験であり、業界・企業規模によって事情は異なります。統計として一般化はできません。それでも、071の職業名(溶接工・めっき工・NC工作機械オペレーターなど)を書類の中で正確に使うだけで、読み手に伝わる情報量は変わるはずです。

高卒で製造業に入った人の3年後は、業種でここまで違う

2022年3月に高卒で就職した人のうち、製造業に入った人は57,193人で、就職者全体の41.6%を占めます(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」より、産業別離職状況)。ただし「製造業」を一つに括ると、実態を見誤ります。同じ製造業でも、中分類ごとに3年以内離職率は大きく違うからです。

製造業の中分類 就職者数(令和4年3月卒) 3年目までの離職率(編集部算出)
非鉄金属製造業 1,204人 21.7%
化学工業、石油製品・石炭製品製造業 4,781人 20.7%
機械関係 24,789人 22.1%
鉄鋼業 1,976人 30.0%
金属製品製造業 4,161人 33.9%
食料品製造業 8,968人 42.4%
製造業 計 57,193人 28.6%

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」高校・産業別表(2022年3月卒・2025年6月集計値)。離職率の列は同表の実数から編集部が算出しました。

高卒就職者の受け皿として最も大きいのは機械関係で、24,789人(製造業就職者の43.4%、編集部算出)を受け入れながら離職率は22.1%です。単一の中分類としては最大の受け皿でありながら、離職率は製造業計の28.6%より低いという形になっています。一方、金属製品製造業は4,161人で離職率33.9%と、製造業計より5.3ポイント高くなっています(編集部算出)。

金属加工の中小メーカーで働いている場合、統計上は「金属製品製造業」に近い区分に入っていることが多くなります。同じ製造業の中でも、機械関係に比べて離職率がやや高い区分にいる、というのが実測です。だからといって今の職場が悪いと断定できるわけではありませんが、「業種を選び直す」ときの比較材料にはなります。

フォークリフトの資格だけでは、値札は動かない

工場勤務の入口でよく勧められる資格に、フォークリフト運転技能講習があります。労働安全衛生法に基づく技能講習で、修了していないとその業務自体に就けません。ただし、未経験者が最初に取る入門的な資格という位置づけであり、単独では値札を動かす一手にはならないというのが編集部の見方です。

一方、金属加工には国家検定である技能検定(技能士)の制度があります。合格すると「技能士」の名称を名乗れる名称独占の資格で、機械加工・金属プレス加工・溶接など071に関連する実施職種が複数あります(職業能力開発促進法50条4項)。無資格でも業務自体は行えますが、書類選考で経歴を裏づける材料にはなります。

編集部としては、資格を1つ追加するより先に、071の中で倍率の高い職種(溶接・めっき・板金など)へ、いまの職務経歴のまま応募書類を出してみることを勧めます。資格の有無以上に、実務でどの機械をどれだけ扱ってきたかのほうが、選考では重要な情報になるからです。手元の資格が普通自動車免許とフォークリフト技能講習だけの場合も、工業高校卒で金属加工の現場にいる人の例を置いた記事で、そこから先の進め方を確かめられます。

同じ「資格」でも、作業できる範囲そのものが法令で区切られている職種もあります。技能講習ではなく免状で作業範囲が決まる職種の例では、電気工事の免状の種類と扱える工作物の区分が対応していることを条文で確かめています。

では、フォークリフトの次に何を見ればいいのか。いまの勤続年数がそのまま受験資格になる資格の探し方に、実務経験の年数で開く資格を条・項・号つきでまとめてあります。

業種を選び直すなら、どこに伸びしろがあるか

「職種を固定して、業種を選び直す」ときに参考になるのが、投資が伸びている分野です。半導体分野では、熊本のJASMが、両工場合計で投資額200億米ドル超・3,400人超の雇用を見込んでいます(TSMC公式発表、2024年2月6日付)。JASMはTSMC・ソニーセミコンダクタソリューションズ・デンソー・トヨタが出資する会社です。北海道千歳市のRapidusも、2027年に2nm世代の量産開始を計画しています(Rapidus公式発表)。

自動車関連では、エンジン部品からバッテリー・モーター・パワー半導体へと人材需要がシフトしています。どちらも、金属加工や機械操作といった既存のスキルを土台にした業界内・業界またぎの転職先になり得ます。

ただし、会社名や分野の知名度だけで判断しないことが重要です。値札が上がるのは、市場が伸びていて、かつ人手の供給が追いついていない場所だけだ、というのが編集部の一貫した立場です。応募する前に、その職種の有効求人倍率を自分の目で確認してください。

「中小企業出身では、成長分野に転職できないのでは」と考える必要はありません。ものづくり企業への調査では、規模計で56.1%が「中途採用が中心」と回答しており、従業員49人以下の企業に限ると66.2%まで上がります。

出典はJILPT調査(経済産業省「2026年版ものづくり白書」より)です。調査対象は製造業11業種・従業員30人以上の企業20,000社で、有効回答は4,342社です。中小企業を含め、中途採用は既に製造業の主戦場になっています。

工場という括りを離れて、職種そのものを変えたい場合の考え方は本記事の範囲外です。その場合の手がかりは、実在する募集要項で応募資格を見比べた記事にまとめています。

ものづくり企業の規模別「中途採用が中心」の割合を示す棒グラフ

転職しても年収は上がるとは限らない、という前提も先に書く

有効求人倍率が高いことは、人手が集まりにくいことの裏返しです。採用されやすさの指標であって、年収が上がることを保証する指標ではありません。工場勤務から業種を移った人の賃金がその後どうなったかを、この職種の切り口で示す公的統計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。

製造業の一般労働者(正社員)の所定内給与は、男女計で月33万0,000円です(2025年6月分。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」)。全産業計の34万0,600円をやや下回る水準で、16大産業の中では中位に位置します。業種を移る場合も、応募先の求人票に記載された賃金額を、この水準と比べて確認してください。

高卒で正規の職員・従業員として生産工程の仕事をしている人の年収が、どの階級にどれだけ散らばっているかは、生産工程の年収が階級ごとにどう散らばるかを見た記事にあります。総務省の別の調査の数字なので、上の月額とは足したり比べたりしないでください。

企業の規模による賃金差も別記事で詳しく扱っているため、ここでは繰り返しません。同じ職種でも、大企業と中小企業では待遇が変わり得ることだけ、先に触れておきます。

30代が近づくと、この判断の重みは変わっていきます。高卒の平均勤続年数に届く年齢を計算した記事を、30代に入る前の目安として確かめてください。

転職サービスを使うなら、まず報酬の仕組みを知っておく

当サイトは転職サービスの紹介で収益を得ています。この事実を先に書いたうえで、判断の基準を示します。

転職エージェントは有料職業紹介にあたり、企業側が成功報酬を払う仕組みです。そのため利用する側の費用は原則としてかかりません。書類添削や面接対策は遠慮なく使ってよいものですが、最終的にどの会社へ動くかは、自分の基準で判断してください。

用語の区別も押さえておいてください。転職エージェントは有料職業紹介、転職サイト・スカウトサイトは募集情報等提供で、法律上の位置づけが違います。許可・届出の有無は、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。

ここからは、状況ごとの編集部の考えです。求人倍率の高さを優先するなら、071の中でも倍率が高い職種(溶接・めっき・板金・保全など)を対象にした求人を、まず10件ほど並べて比べることを勧めます。いまの職場の安定を優先するなら、無理に動く必要はなく、まずは自分の職種がどの区分に当たるかを確認するところから始めれば十分です。

いま無理に動かなくていい人

全員に転職を勧めるつもりはありません。次に当てはまる場合は、いま無理に動かなくても構いません。

  • 現職の賃金が、応募を検討している業種の求人票と比べて明確に高い人
  • 社内で異動や昇格の話が具体的に進んでいる人(先に結果を見てから判断しても遅くありません)
  • 自分の職種がどの区分に当たるかを、まだ確認していない人(確認が先です)

よくある質問

Q:工場への転職は難しいですか?

全職業平均を基準にすると、難しいとは言えません。有効求人倍率は、工場勤務が含まれる生産工程従事者で1.57倍/1.70倍(2026年3月分)と、全職業平均の1.10倍/1.17倍を上回っています。ただし職種によって差が大きく、071の中だけでも2.67倍から7.93倍まで開くため、「工場」という括りではなく、自分の職種で確認することが重要です。

Q:工場からの転職でおすすめの業界は?

編集部は、業界名を単独では挙げません。半導体や電動化関連のように投資が伸びている分野はありますが、それだけで判断せず、応募先の職種の有効求人倍率と照らして比較することが欠かせません。

Q:工場勤務から転職するならおすすめの職種は?

この記事では、具体的な職種名を序列化しません。有効求人倍率が全職業平均(1.10倍)を上回るか、いまの経験をそのまま持ち込めるか、続けた年数や資格が賃金に反映される仕組みがあるか、という3点で判定してください。

まとめ

  • 工場勤務が含まれる生産工程従事者の有効求人倍率は1.57倍/1.70倍で、全職業平均1.10倍/1.17倍を上回る(2026年3月分)
  • ただし071(金属加工)の中だけでも、溶接工2.67倍から建築板金7.93倍まで約3倍の開きがある
  • 高卒就職者の製造業中分類別3年以内離職率は、機械関係22.1%・金属製品製造業33.9%と業種ごとに差がある(令和4年3月卒)
  • フォークリフト技能講習は入門的な資格で、単独では値札を動かす一手にならない
  • 半導体・電動化などの成長分野はあるが、名前ではなく有効求人倍率で確認する

最後に、状況ごとの判断をまとめます。求人倍率の高さを優先するなら、いまの職種のまま071内の高倍率職種を比較してください。いまの職場の安定を優先するなら、まずは自分の職種が071と067のどちらに当たるかを確認するところから始めれば十分です。

有効求人倍率、求人票の賃金額、企業規模の3点は、応募前に必ず見ておいてください。現職と比べるべきは、この記事で示した数字とご自身の給与明細です。いずれの場合も、スカウトサービス・大手の転職エージェント・業界特化型エージェントを併用し、実際の求人で比較するのが編集部の考えです。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の労働条件・制度の適用については、勤務先の就業規則や、都道府県労働局・ハローワークなどの公的窓口へご確認ください。


訂正履歴

  • 2026年10月2日|見出し「高卒で製造業に入った人の3年後は、業種でここまで違う」:「高卒で製造業に就職した人は多数派です。」を削除しました。理由:41.6%は過半数ではなく、「多数派」と誤って記載していました。

参考・出典

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